僕は石です
いつもみんなに蹴られたり 川の中に投げられたりします
時には側の石に叩き付けられたり・・・
そんな僕は石に等しい
僕は僕しかいないのに 周りの人にうずめられ
沢山の中にある小さな小汚い石のように
誰にも気付かれず 踏みにじられていく
僕は石です
どんなに僕が蹴られても どんなに顔にあざができても
周りにいる人たちは無表情で 僕を見ようともしない
僕を囲んでいる人たちは笑いながら それでも一生懸命なのだろう
額に汗を浮かべながら 半分真顔で自分の足を振り下ろす
どうして僕は蹴られる石に選ばれてしまったのだろう
他の石に紛れて ひっそり暮らしていたかった
それがなぜか僕だけが拾い上げられ 思いのままに弄ばれ
最後には素っ気なく投げ捨てられる
僕は石です
石の中には もう一つ石が入っているものがあるらしい
みんなはそれを宝石と呼ぶ
僕はそれを心と呼ぶ
僕の中にもそれが入っているのだろうか
あとどれくらい蹴られれば 石が割れて中が見れるのだろうか
キラキラ光る宝石が 僕の中にもあるのかな
だけどそれは誰も知らないこと
人は僕の中を見ようとしない
蹴っても蹴るだけ それで終わり それで満足してるんだ
だから僕も 僕を見れない
でも それはもう それでいいんだ
僕の中にはそんなものがないと 分かってしまうのが怖いから
僕は石です
たぶん何も考えない 何も思わない 何も感じない人間です
そんな僕は石に等しい
いつまでも変わらない いつまでも逃げられない
僕は石です
2002/10/24