はじめまして。Bridge for Children, KGU2回生の吉田さゆりです。この度は、コラムを読んでいただきありがとうございます。私は、今年の3月4日~13日の10日間、大学のプログラムである海外フィールドワークに参加し、ベトナムに行きました。私にとってベトナムは初めての東南アジアで途上国でした。正直、始めは楽しみよりも不安や緊張のほうが大きかったです。しかし、数日経つと生活にも慣れ、毎日メンバーと楽しく、充実した濃い10日間を過ごすことができました。
私が海外フィールドワークに参加しようと思ったきっかけは、大学生のうちに途上国に行って現状を自分の目で見たいと思っていたからです。旅行として行っても良かったのですが、初めての途上国は学校のサポートがあるほうが両親も私自身も安心であったため、このプログラムに応募することを決めました。
フィールドワークであったため、ベトナムでは主に現地の方にインタビューすることが活動内容でした。教育、食・文化、企業経営、地場産業の4つの分野で多くのベトナム人にインタビューをしました。
毎日新しい発見がある環境で生活するのはとても刺激的でした。寝食を共にしたベトナム人学生は、とても勉強に意欲的で、英語も堪能で、なおかつ日本の曲を聞いて日本語の勉強をしている学生もいました。私が海外フィールドワークを通して、様々な職種や年齢層のベトナム人にインタビューをした結果、気になる点が2つありました。
1つ目は、どの職種の人も今の生活や収入、仕事に満足しているということです。インタビューの対象者のほとんどが自営業をされている方で、決して収入は多くなく裕福な暮らしはしていないと私は感じました。しかし、今の収入や生活に対してどう思うかという質問に対しての彼らの答えは、“enough”でした。
日本では、稼ぎが少ない仕事に就いている人や非正規雇用者ほど、自分の仕事に誇りや自信がない印象があります。また、日本では、仕事に関するインタビューの際、不景気だから収入があまり良くないという言葉をよく耳にします。私がインタビューしたベトナム人のように、今の仕事を一生続けたいと笑顔で言える日本人はどのくらいいるでしょうか。
どうしても人間は自分の望むものが手に入れば入るほど欲が出てきてしまうものです。ですが、ベトナム人が誇る日本の国民として、日本人はベトナム人の仕事に対する精神を見習い、経済も心も豊かな国になるべきではないかと思いました。
2つ目は、多くのベトナム人が日本に対して親近感を持っているということです。例えば、ベトナム人は日本が援助して造った橋を知っていましたし、また日本語を勉強しているベトナム人学生も多くいました。
ベトナム人は、生活の中で日本の存在を感じる瞬間が多くあるように私は思いました。しかし、日本ではベトナムを親しく感じることがほとんどありません。ベトナムには日系企業が多く進出していますが、その点についても日本人よりもベトナム人のほうが日越の関係を強く感じているように思いました。
また、日本に対して良いイメージを持っているベトナム人が多く、日本はアジアの中でも発展している国であるから、日本のような教育システムを見習うべきであると言うベトナム人学生もいました。ですが、私自身、日々の生活で日越関係を感じることはなかったので、ベトナムと日本の温度差のようなものを感じました。やはり実際に現地に足を運ぶということは大切だなと強く感じました。
今回、旅行ではなかったからこそ、ベトナムでたくさん学べたことや得たものがあります。インタビューを通して、疑問に思っていたことが解決したり、新たに疑問が増えたり、帰国してから自分の課題として深く探求したいと思うものもできました。実際に自分の目で現状を確かめると、想像以上にレンズ越しに見ていたものと違う景色が見えると思います。
このコラムで、少しでも自分の目で現状を確かめることの大切さが伝われば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました。