こんにちは。Bride for Children, KGUに所属している櫻井瞳です。今回私は『途上国においてのジェンダー問題と女性の独立支援』について書かせていただきます。日本では、男女ともに小学校から中学校まで教育が義務付けられていますが、カンボジアの男性の男子識字率が80%近くにであるのに対し、女性の識字率は50%台半ばと、大きな格差が出ています。また18歳までの男子の就学率が女子の3倍であることからも、男子生徒と女子生徒の間には、ジェンダー格差が存在しています。(平成12年外務省 ODA 経済協力評価報告書より)
その背景には、女子は高学年になるにつれて、家事や農業のお手伝いをしなければならないことが挙げられます。また男女ともに平等に教育を受けられる機会が少ない貧困地域での男女格差がある中で、女性の地位はとても低いと考えられます。しかし、女子の就学率向上のため、近年カンボジアでは、女子学生を優先させる奨学金の制度の充実や女子の受け入れを優先する学生寮の建設や、男女別々のトイレ設置など様々な取り組みが行われ、 男子と女子の中等教育の就学率の格差は、2%まで縮まりました。( The National Education for all 2015 Review Report Unescoより)
今後、カンボジアでは女子の就学率向上だけではなく、ドロップアウト率を下げることが課題とされていますが、カンボジアでは、女性が学ぶことの意義を感じ働ける場所を増やすことが大切だと、私は考えます。
今回実際私が3回渡航経験のあるカンボジアで行われている女性のためのプロジェクトについてご紹介したいと思います。それはカンボジアのシェンムリアップ州から35km離れたクチャ村にある工房コミュニティファクトリーで、カンボジアの女性が“susu”というカンボジア発祥ブランドである商品を作りながら、ライフスキルを磨くことができる日本人が始めたサポートプロジェクトです。
”susu”とは、クメール語で頑張るという意味です。ここでは、経済的に困難な背景を持つ女性達70名ほどが働いていますが、そんな女性達のサポート方法を栄養教育、子育て、言葉の読み書きの3つの観点から説明します。
貧困家庭では、貧しいために栄養のある食事ができず、体調を崩す女性達が多くいて、仕事を休むことも多々ありました。そこで、女性達に元気に働いてもらうために栄養バランスの整った給食を提供しています。栄養に対する正しい知識をもつことで、健康な体で仕事と家庭にも良い影響を与えることができます。次に途上国の女性は、日本と比べ結婚・出産年齢は早いです。そんな女性達が、ライフステージが変わっても働くことができるよう、ファクトリーの横に託児所を設置し、安心して仕事に取り組むことができます。休み時間には、お母さんが赤ちゃんと触れ合う時間は、日本にはない姿だと思います。最後に、ここで働く女性達は、小学校を途中で退学してしまった人が多いです。そこで、仕事に必要なクメール語の読み書きや計算を教える時間を作っています。
このように、コミュニティファクトリーでは、多くの女性達が物作りを通して、多くのライフスキルを習得し、将来の選択肢の幅を広げる活動を行っています。私が一番印象的だったことは、働いている女性の一人が、『自分の子どもには教育を受けさせたい』と言っていたことです。
仕事を通して学ぶことの意義を多くの女性が知ることができれば、男女ともに学校で勉強する機会が平等に与えられると私は考えています。最後になりますが、私も愛用しているカンボジア発祥ブランド“SUSU”が日本でもネット販売されることに決まりました。様々なバックグラウンドの女性達が一つ一つ丁寧に手作りで作った商品を是非手にとってみてください。最後までお読み頂きありがとうございます。
“susu” facebook: https://www.facebook.com/susufromcambodia/
“susu”ネット販売サイトhttp://shop.susucambodia.com
<参考文献>
http://susucambodia.com/ja/
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hyouka/kunibetu/gai/h12gai/h12gai028.html
http://unesdoc.unesco.org/images/0022/002297/229713e.pdf