こんにちは。Bridge for Children, KGUに所属している時武佳奈です。今回のコラムは、「カンボジアの教育問題」について書かせて頂きます。
皆さんは、カンボジアについてどのようなイメージを持っていますか。恐らく多くの人が、「発展途上国のイメージが強く、生活水準が低い」といったイメージを持っている人が多いと思います。実際に、2015年のIMFの資料から、カンボジアの1人当たりのGDPは、1.140ドルだと検証されているので、非常に貧しい国であることがわかります。
教育面に関しては、外務省の『JHP・学校をつくる会活動記録集1999』から、初等教育の入学率は88.3%と数値が上がっており、良い方向に進んでいるものの、中等教育の入学率は23.7%、高等教育の入学率は8.1%まで下がってしまうのが今の現状です。
では、なぜ、このように教育水準が低いのか、カンボジアの時代背景を踏まえて説明します。皆さんは、「ポルポト政権」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。カンボジアは、1970年から20年間内戦が続いており、その内戦のなか、1975年にこの政権が成立したと言われています。この政権の内容は、教育は資本主義を教え込む元凶と捉えていたため、学校を次々に破壊し、教材や本も次々と焼却しました。さらに、知識のある者は資本主義を生み出す敵として捕らえ、虐殺したといった悲惨な歴史があります。この歴史により、カンボジアの教育基盤は完全に崩壊しました。
現在のカンボジアの教育の現状は、6・3・3制で、最初の9年が義務教育と定められています。先ほども述べたように、年々就学率は高くなってきていますが、働きながら学校へ通う子どもたち・様々な問題により学校へ通うことのできない子どもたちはまだまだたくさんいます。したがって、カンボジアの子供たちみんなが整った環境のなかで教育を受けられていないことが現状です。
このような現状の背景には、「教員の人数が少ないために学校が機能しない」といった問題が挙げられます。カンボジア人は、母国語であるクメール語のほかに、第二言語として、英語を話せると月200ドル、韓国語を話せると月300ドル、日本語か中国語を話せると月500ドル稼ぐことが出来るのに対して、教員の給料は、月およそ40ドルと非常に少ないので、教員は生活をするために塾講師の副業をしています。塾の内容は、学校の勉強の復習ではなく、学校の授業の続きや補習を行っているため、塾に行かなければ学校の授業についていくことが出来ないのです。したがって、お金のない子供たちは授業についていけず、進級することが難しいのです。この現状が、中等教育・高等教育の入学率の低さの原因の1つであると考えられます。
教員の生活が十分に保障されていないことが、子供たちが平等に教育を受ける機会をも奪っており、教員の給料問題は、教員の教育活動への意識の低さを生み、それが教育の質の低下までも引き起こしているのです。
しかし、実際、私はこの春カンボジアへ行き、語学学校を訪ねると、将来の夢を持った光輝く子どもたちに出会いました。「日本語のガイドになりたい」と真摯に日本語を学んでいる子どもたちの姿を見た時には、自分の惨めさを痛感しました。なぜなら、私は、日本という何不自由なく生活できる環境で育ったにもかかわらず、今まで勉学を怠ってきたからです。今回のカンボジアの旅は、子どもたちを笑顔にさせるどころか、私自身が子どもたちから学ぶことばかりでした。しかし、この旅を通して、より一層、「途上国に住んでいる子どもたちの役に立ちたい」という思いが強くなりました。私は、この旅で経験したこと・学んだこと・感じたことを、これからBridge for Children, KGUを通して、これから皆さんに伝えていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
<参考文献>
http://sva.or.jp/activity/oversea/cambodia/background.html
http://h-moriyama.jp/pages/profile/city/cambodia/education.html
http://cbb-cambodia.org/second-language